高岡市民病院長 福島 亘

 高岡市民病院は、昭和26年10月に「健康保険高岡市民病院」として開設され、平成8年3月より新病院改築工事が開始され、平成11年4月に病棟、中央診療棟が完成、平成12年3月に外来棟が完成し現在に至っています。令和4年12月に国宝指定された雲龍山 勝興寺へは車で約15分、近くには国道8号線が走り、万葉線 市民病院前からは徒歩3分の立地にあります。

 当院では、「生命の尊重と人間愛を基本に、心がかよいあう医療の提供 (HEART)」を基本理念に掲げ、Hospitality (心のこもった接遇)、Excellent (良質な医療で健全経営)、Amenity (快適な療養環境)、Relationship (人材を育成しよりよい人間関係)、Trust (地域との信頼関係の構築)の5つの基本方針を掲げ、「患者さんに寄り添う心を持って」という考えのもと、患者さんや家族の方、さらには地域の医療機関の先生方からも選ばれる病院づくりを目指してまいりました。

 当院は高岡医療圏約29万人の急性期医療を担う地域中核病院であります。がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患などを一般診療として行い、年間3000回以上の救急搬送を受け入れている二次救急病院です。これらの急性期医療は医療圏の皆様の生命を守るための最も重要な使命と考えており、今後も継続してその役割を果たしていきたいと考えております。

 近年、高岡医療圏では高齢化が進み、65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯数の増加を認め、高齢者の外来受診、救急搬送が増加しています。こうした現状を踏まえ、急性期治療後の在宅医療、介護サービス、生活支援・介護予防などを一体化して提供する地域包括ケアシステムの構築が重要となっています。今後当院では急性期医療を行うことはもちろんのこと、ポストアキュートとしての医師、看護師のみならず、薬剤師、リハビリテーション科職員、管理栄養士が連携したポストアキュートとしての在宅にむけた医療を提供していきたいと考えています。そして退院後も訪問看護、訪問診療を行い、必要に応じて入院治療を行うサブアキュートとしての医療を、関係する様々な方々と連携しながら行い、システムの中心的役割を果たしていきたいと考えております。

 令和6年1月1日、能登半島地震が起こり、高岡医療圏でも被災された方がいらっしゃいました。被害に遇われた方々、家族の方には謹んでお見舞い申し上げます。このようないつ起こるかわからない災害や緊急事態が発生した時にも、災害拠点病院として損害を最小限に抑え、病院の機能を継続し提供するための事業継続計画 (BCP)を策定し準備をしておく必要があります。また新型コロナウイルス感染症は、令和5年5月に5類感染症となりましたが、この様な新興感染症が再び起こることを想定し、常日頃から怠りなく準備を行っていきたいと思います。

 これからも地域の皆様から何を求められているのかを常に考え、安心・安全、信頼の医療を提供していきたいと考えておりますので、今後とも当院をよろしくお願い申しあげます。

令和6年4月 高岡市民病院長 福島 亘