診療科の取り組み

泌尿器科は主に排尿と生殖・内分泌機能に関連した臓器である腎臓、副腎、尿管、膀胱、前立腺、尿道および精巣に発生した良性・悪性疾患を担当する診療科です。腎がん、膀胱がん、前立腺がんなどの悪性疾患、過活動膀胱や尿失禁などの排尿に関する疾患、さらには尿路結石、前立腺肥大症、男性不妊症、尿路・性器感染症など幅広い疾患に対して専門的な診療を行っております。

それぞれの疾患に対して複数かつ最新の治療選択を提示させて頂くことで、患者さんひとりひとりのニーズに合った治療が提供できるように心がけております。また、高齢者や合併症のある患者さんに対しては総合病院ならではの高いレベルの全身管理を目指しており、手術後および退院後の患者さんの生活や社会復帰に配慮した在宅医療や管理指導等を含むアフターケアにも積極的に取り組んでいます。

診療内容(特徴・特色)

前立腺がん

当院では前立腺がんに対する手術として、2019年12月よりダビンチ手術(ロボット支援腹腔鏡下前立腺摘除術)を開始し、開腹手術より小さな術創で手術可能になり、毎年数十件の手術を行っています。特に代表的な術後合併症である術後尿失禁は、当院では術後3~6か月程度で約90%程度改善と比較的良好な結果が得られています。しかし、近年の手術技術向上に対応すべく新しい手技の報告があれば適時minor changeを行っており、さらなる改善を目指しています。

前立腺がん ダビンチ手術(ロボット支援腹腔鏡下前立腺摘除術)

腎がん

腎がんは比較的大きな腫瘍でも基本的には全例腹腔鏡手術で行っています。また比較的小さな腎がんでは術後の腎機能温存が予後に大変重要と考えられているため、当院では腎機能温存術(腎部分切除術)も行っています。手術後の完治を目指すのが一番の目標ではありますが、比較的早期の腎がん(T1程度)であれば可能な限り腎部分切除術を行っており、現在約半数(50%程度)の患者さんに行っています。

膀胱がん

膀胱がんは血尿で見つかることが多い病気ですが、確定診断には組織採取が必要であり膀胱がん疑いと診断された患者さんは、診断と治療をかねてまずはTURBT(transurethral resection of bladder tumor)を行います。それによって筋層浸潤がん(T2以上)と診断された場合、標準的な手術が膀胱全摘術になります。膀胱を摘出してしまうと尿を出すための新しい尿の通り道を確保しなくてはいけないため、尿路変向術が必要になります。一般的な方法では、ストーマと呼ばれる尿を回収するパックを一生腹部に付けなくてはいけないのですが、当院では対象になる患者さんには、小腸を膀胱の形に作って尿道につなげる手術(代用膀胱:回腸新膀胱造設術)を行っています。この手術の最大の利点はストーマを使用せずに術前と同じように尿道から排尿できることです。近年では当院の膀胱全摘術の患者さんの半数以上(約60%程度)で行っています。

膀胱がん 尿路変向術の種類

前立腺肥大症

前立腺肥大症に対する手術は古くはTURP(transurethral resection of prostate::経尿道的前立腺切除術)が広く行われていた術式ですが、当院では適応になる患者さんにはTUEB(transurethral enucleation with bipolar system:経尿道的バイポーラ電極前立腺核出術)をすすめています。TUEBは核出術と呼ばれる手術で、肥大の根本原因となる前立腺内腺(肥大結節を多数含む部分)を完全に取り除くことにより、1回の手術で肥大の再発が理論上無くなる手術です。排尿状態が大変悪く複数の薬を内服しても改善が得られなかった患者さんでも、手術後80~90%程度内服しなくても生活の質(QOL)が改善できる可能性があります。基本的に排尿状態改善のための手術ですので、良好な結果を得るため術後リハビリ指導も積極的に行っております。

前立腺肥大症 TUEB:経尿道的バイポーラ電極前立腺核出術

代表的な疾患

泌尿器科では副腎と尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)および男性生殖器(精巣、前立腺、陰茎など)の疾患を扱います。
主な疾患として

  • 腎癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌などの悪性腫瘍
  • 腎結石、尿管結石、膀胱結石などの尿路結石症
  • 腎盂腎炎・膀胱炎・前立腺炎、尿道炎などの尿路・性器感染症
  • 前立腺肥大症や神経因性膀胱に代表される排尿障害
  • 男性不妊症、男性性機能障害

外来診療担当表

干渉低周波治療(予約制)を実施しています。

午前  8時30分~11時30分
1診 安川 佐藤
2診 - 佐藤 安川 - 安川
午後 
手術 手術 手術 手術 検査
14時~16時  干渉低周波(予約制)

 

担当医師

主任部長(泌尿器科診療科長)

林 典宏(はやし のりひろ)

専門領域・得意分野

泌尿器一般、前立腺がん、腎がん、尿路上皮がん、副腎腫瘍、腹腔鏡手術、ロボット手術

資格・学会

  • 日本泌尿器科学会専門医・指導
  • 日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器腹腔鏡技術認定
  • 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
  • Da Vinci certificateドクター
  • 富山大学臨床教授

モットー・患者さんへの一言

最新知見に基づいた治療の中でもよりよい内容と手技を提供していきたいと思います。

医長

安川 瞳(やすかわ ひとみ)

専門領域・得意分野

泌尿器一般

資格・学会

  • 日本泌尿器科学会専門医
医師

佐藤 元輝(さとう げんき)

専門領域・得意分野

泌尿器一般

資格・学会

  • 日本泌尿器科学会

モットー・患者さんへの一言

患者さん一人一人の想いを聞き、丁寧な診察を心がけます。

手術実績

手術名 令和
元年度
令和
2年度
令和
3年度
令和
4年度
令和
5年度
前立腺肥大症 経尿道的前立腺核出術(TUEB) 29 23 28 32 37
前立腺がん 前立腺全摘術 21 22 12 20 29
膀胱がん 経尿道的膀胱腫瘍手術(TURBT) 51 34 49 41 48
  膀胱全摘術 4 5 2 2 4
  (その内、新膀胱造設術) 3 2 1 1 4
腎がん 腎摘除術 8 6 2 3 6
  腎部分切除術 5 6 6 2 5
腎盂・尿管がん 腎尿管全摘手術 5 3 7 4 5